世界初 e-Marker内蔵 USB4® 搭載機器向けRe-Timer ICを量産開始

【要 旨】ヌヴォトン テクノロジージャパン株式会社(以下、NTCJ)は、世界初e-Markerを内蔵し、最新のUSB4®、USB 3.2、Thunderbolt™ 3、DisplayPort™ 2.0、および、DisplayPort™ Alt Mode規格に準拠したRe-Timer ICの量産を開始します。※2022年11月15日現在、当社調べ

【本製品による効果】
1.業界TOPクラスの高性能イコライザ機能[1]とエンファシス機能[2]により、様々な機器間での相互接続性(以下、インターオペラビリティ)を有するUSB4搭載機器を実現
2.独自のケーブル細線化伝送技術[3]により、ケーブルの設計、製造に求められる厳しい制約条件を緩和し、細く長く柔らかいUSB4ケーブルを容易に実現
3.世界初e-Marker[4]内蔵により、e-Marker制御用ソフトウェアの開発が不要
4.上記を通じて、USB4ケーブルの開発、製造、メンテナンスに渡るバリューチェーン[5]全般のコスト抑制に貢献

・商品の詳細はこちら:
https://www.nuvoton.com/products/high-speed-interface/usb4-re-timer/

【市場背景と課題】
1.高速化に伴う信号劣化
IoT社会の急速な発展に伴い、扱われるデータ量は大容量化しており、そのデータ転送に必要な通信技術はさらなる高速化が求められています。
USB4は、最大通信速度が従来のUSB 3.2と比べ、2倍の40Gbpsとなります。しかし通信速度の高速化は、基板配線やケーブルのインピーダンスによる伝送損失が大きくなるため、信号品質の低下を引き起こします。
この問題に対し、従来はRe-Driver IC[6]やRe-Timer IC[7]のような波形整形器を機器やケーブルに搭載し、信号品質の改善を行ってきました。しかし、USB4においては、従来の波形整形器による設計条件の合わせ込みが難しく、開発・製造の難易度が上がると共に、信号のマージン不足による製造歩留劣化が想定されます。
2.高速化に伴うソフトウェア開発のコスト増加
近年需要が高まっている急速給電を安全に行うために、USBケーブル(USB 3.1以上に対応するType-C®ケーブル)には、e-Markerと呼ばれる通電容量や製造者情報などの情報が登録されたICが実装され、給電の安全性や信頼性を実現しています。USB4においても同様にe-Markerの実装は必要となりますが、高速化したUSB4においては、e-MarkerとRe-Timer ICの連携動作に伴うソフトウェア開発が新規に必要となり、開発期間の長期化やコストアップの課題が想定されます。

【本製品が解決する事】
当社のRe-Timer ICは、当社が20年以上にわたり培ってきた高速インターフェースICの低ノイズ・高速送受信アナログ技術を基盤とした高性能イコライザとエンファシス機能を搭載し、様々な機器間でのインターオペラビリティを実現します。
ケーブル向けRe-Timer ICは、当社独自のケーブル細線化伝送技術により、ケーブルの設計、製造に求められる厳しい制約条件を緩和することで製造歩留の向上をはかり、高い接続品質と使い易さを両立するケーブルを実現できます。
さらに、ケーブル識別情報などを格納するe-Markerを世界で初めて内蔵し、BOM・製造・調達コストの削減とソフト開発期間の短縮が可能です。お客様の開発・サポート期間を短縮する評価ボード、ファームウェア書き換えツール、リファレンスパドルカード[8]といった開発環境も準備しており、お客様の開発、製造、調達、メンテナンスに渡るバリューチェーン全般の革新的改善で開発総コスト抑制に貢献致します。

【技術的特長】
Re-Timer ICは、以下の特長を有しています。
1.USB4 Type-Cの双方向マルチプロトコルに対応し、最大40Gbpsの送受信を可能とする高いインターオペラビリティを実現。
2.USB4の下位互換性と周辺規格をサポート。
USB4、USB 3.2、Thunderbolt 3、DisplayPort 2.0、およびDisplayPort Alt Mode
3.受信側には最大35dBの信号損失を補償するイコライザ、送信側には最大15dBを補償する
エンファシス回路の搭載により、基板やケーブルによる信号の減衰を補償し、信号の復元が可能。
4.Re-Timerの入力端で要求されるIntra-Pair Skew[9]の制約を大幅に緩和可能*。 *KM864742のみ

【対象品番】USB4 Re-Timer IC (KM86474Xシリーズ)
       KM864741/KM864742

【用途】KM864741:PC, Tablet Monitor, Smartphone, Game, Dongle
    KM864742:USB4ケーブル

【仕 様】
  品番:KM864741およびKM864742
  対応規格:USB4(Gen2, Gen3)/USB 3.2 (Gen1x1,Gen1x2, Gen2x1, Gen2x2) /Thunderbolt 3/ DisplayPort 2.0(UHBR20)/DisplayPort Alt Mode
  イコライザ機能:35dB
  エンファシス機能:15dB
  e-Marker内蔵:(KM864742のみ)
  電源:0.9V/3.3V
  パッケージ:VFBGA-81pin 0.5mm pitch(5mm x 5mm)

【量産開始】2023年1月

【お問い合せ先】ヌヴォトン テクノロジージャパン株式会社

(報道内容)コーポレート戦略室 PR・コミュニケーション課 松本 (NTCJ_PR@nuvoton.com)

(技術内容)IoTwithセキュリティBG マーケティング部 吉田(yoshida.masato@nuvoton.com)

【用語説明】
 [1] イコライザ機能:
   伝送路のローパス・フィルタ特性によって失われてしまう周波数成分を受信側で増幅することで補償
 [2] エンファシス機能:
   送信側で伝送路での減衰を考慮して送信波形をあらかじめ調整する機能
 [3] ケーブル細線化伝送技術:
   ケーブル内部に独自の伝送方式を適用することで細線化を実現する技術(特許出願中)
 [4] e-Marker:
   USB 3.1以上に対応するUSB Type-Cケーブルに内蔵されているICチップで通電容量や製造者情報が登録される
 [5]バリューチェーン:
   製造メーカーが製品を商品化する際に商品の価値を生む一連のステップ(企画、開発、製造、調達、生産管理、メンテナンス)
 [6] Re-Driver IC:
   アナログ回路でイコライザ機能とノイズ除去を行う波形整形器
 [7] Re-Timer IC:
   イコライザ機能に加え、デジタルフィルター処理やゲイン調整・クロックリカバリーを行う波形整形器
 [8] パドルカード
   ケーブルに内蔵される小型の回路基板
 [9] Intra-Pair Skew
   差動信号のレーン間の伝送時間差

【ヌヴォトン テクノロジージャパン株式会社 について】
ヌヴォトン テクノロジージャパン株式会社(Nuvoton Technology Corporation Japan、以下: NTCJ)は、2020年にNuvoton Groupに加わりました。NTCJは、世界的な半導体専門メーカーとして、設立以来60年超にわたって培われてきた技術とさまざまな製品、およびそれらを最適に組み合わせた空間センシングソリューションと電池応用ソリューションを提供しています。 お客様やパートナーとの関係を大切にし、期待以上の付加価値を提供することで、社会、産業、人々の生活のさまざまな問題を解決するグローバルソリューション企業として活動しています。 詳細については、https://www.nuvoton.co.jp/ をご参照ください。

※本プレスリリース上に記載されている団体名、会社名、製品またはサービスの名称などは、各社、各団体の登録商標または商標です。

This website uses cookies to ensure you get the best experience on our website. Learn more
OK